NPBにおける受難の時代 by ICHILAU&MB Da Kidd

    第11回 NPBにおける受難の時代 〜その11〜 MB Da Kidd

    第12回 NPBにおける受難の時代 〜その12〜 MB Da Kidd

    第13回 NPBにおける受難の時代 〜その13〜 MB Da Kidd

    第14回 NPBにおける受難の時代 〜その14〜 MB Da Kidd

    第15回 NPBにおける受難の時代 〜その15〜 MB Da Kidd



     第11回 NPBにおける受難の時代 〜その11〜 MB Da Kidd


     さて、前回は、MLBのスポーツビジネス事情・地域フランチャイズ事情について軽く触れましたが、今回は、欧州のサッカーにおけるスポーツビジネス事情・地域フランチャイズ事業に触れていきます。このメールマガジンの読者の方は、野球をよくご存知ではあるが、サッカー事情は一般的なメディアで知るのみという方が多数派だと思われますので、少々くどい説明を加えさせていただきますが、サッカー事情について詳しい方は、どうかご甘受のほどをお願い申し上げます。
     またサッカーは、全世界に広まっているスポーツです。ですので、サッカービジネスといっても、南米と欧州ではまったく事情が違いますし、いま世界中でサッカービジネスへのカネが一番集まっている欧州でも、それぞれの国で事情が違いますが、この連載では、欧州4大リーグの中でも最高峰のレベルを誇ると評判の、イタリア・セリエAを取り上げることにします。

     まずは、セリエAのサッカービジネスとしての基本から、チェックしていきましょう。
     タイム誌記者でイタリア駐在員のグレッグ・バークさんの本、『パルマの真実(佐藤邦雄さん訳)』P.184によれば、

     『イタリアのサッカーは、大変裕福な人たちのレクリエーション、あるいは、スキャンダルに巻き込まれた金持ちの罪ほろぼしの社会事業という一面があった』

     ということですので、もともとはビジネスとしての体をなしていないところから、イタリアサッカーは出発しています。また、近年になって法律が改正される前は、クラブは非営利団体として登記されていなければなりませんでしたし、チームが自らスタジアムを所有していないのは、日本のプロ野球と事情は同じです。それに加え、イギリスやアメリカのように商品化権がきちっとしていませんので、クラブ主導でマーチャンダイジングを行うことが難しく、イタリアサッカー関係のグッズは模造品が出回っており、きちんとクラブの収入に直結していません。
     したがって、クラブの収入の途は、巨額のテレビマネーとスポンサーマネー、そして入場料収入がほとんどということになります。

     では、巨額のテレビマネーとスポンサーマネーが大きくものをいう、イタリア・セリエAの収入の途を左右するのは、一体何になるのでしょうか?

     それは、いかにいいスポンサーを迎え入れ、そのスポンサーに大金を出してもらって、メディア受けする有名選手を集めるか、ということになります。

     次回は、さらにセリエAのサッカービジネス事情を詳しく見ていきます。

    【参考文献】
     『〜イタリアサッカー セリエAの1年〜 パルマの真実』 グレッグ・バーク著 佐藤邦雄訳 日刊スポーツ出版社 1999年
     『奥の奥まで見えてくる セリエA スーパー観戦術』 富樫洋一・高山港著 詳伝社 1999年



     第12回 NPBにおける受難の時代 〜その12〜 MB Da Kidd


     さて前回は、セリエAのサッカービジネスの基本についてチェックをしましたが、今回は、その基本についておさらいし、次回におけるイタリア国内の経済とサッカーの関連話へのイントロダクションを行います。

     前回でも述べたとおり、セリエAのクラブの収入の途は、巨額のテレビマネーとスポンサーマネー、そして入場料収入がほとんどということになります。そこで、これらについて、入場料収入、スポンサーマネー、テレビマネーの順に、ひとつずつ見ていきましょう。

     まずは入場料収入ですが、これは、スタジアムに行って、いかに楽しい思いをできるか、ということが、収入のカギとなります。
     第1条件として必要なのは、クラブが強豪であることです。スポーツの一番大きな醍醐味が、結果が出るということである以上、クラブが強くなければ、勝利の悦びを得ることはできません。応援するホームのクラブが結果を出してこそ、そのチームを応援するファンは、自分たちの応援でクラブが勝てると信じ、スタジアムへと足を運ぶのです。
     第2条件として必要なのは、チームに、スターとなる、華のある選手がいることです。いくら結果をコンスタントに出せるいい選手がいたとしても、一瞬一瞬のプレイに、『プロフェッショナルだからこそできる何か』、あるいは、『その選手だからこそできる何か』を感じることができない限り、それを見ている人がプレイに魅了されることは、少ないでしょう。
     第3条件として必要なのは、第2条件と大分重なるところがあるのですが、クラブがプロフェッショナルであることです。プロフェッショナルとは、スポーツをプレイすることによって対価を得ることですから、そのエンドユーザーであるファン、ならびに観客に対して、それを満足させるために、ベストを尽くしてプレイするということが、大きな義務になります。したがって、結果を出すためだけに、イージーなプレイ、あるいは、無難なプレイをすることは許されません。こういう、悪い意味での手抜きは、アマチュアでは許されても、プロフェッショナルである以上は、決して許されることではないのです。
     第4条件として必要なのは、スタジアムの安全性と快適性です。ただ、安全性はともかく、快適性というのは、あくまで相対的にしか捉えられないものなので、そのあたりはかなり主観的要素が濃いわけですから、客観的な物差しで測るのは、極めて困難といえます。

     そこで、以上の4条件を考えると、これは、現場のプレイ・試合内容の向上に対する努力、ならびに、フロントスタッフのしっかりとしたサポート体制が、収入向上のカギになります。スタジアムに来るファンや観客のみなさんに、いかに来ていただくかということが重要で、そのために、いかに魅力あるクラブを創るか、ということが、何よりも重要になるわけです。

     続いてはスポンサーマネーの話ですが、これは、クラブに、どれだけの広告効果を期待できるかによって、決まります。そこで、広告効果を決定する要素について、考えてみましょう。
     第1に必要なことは、いかに、多くの人にアピールできるかということです。企業は、いくらいいサーヴィス、いい製品を提供できても、それを多くの人に利用してもらえない限りは、売り上げを伸ばせないし、利益も生み出せないわけですが、多くの人に利用してもらうには、多くの人にそのサーヴィスや製品を知ってもらうことが、必要になります。
     第2に必要なことは、そのサーヴィスや製品を、いかに、利用してくれそうな人にアピールできるかということです。たとえ多くの人に知ってもらったとしても、その人たちがサーヴィスや製品を利用しようとしない限りは、それは企業の収入に結びつきません。たとえば、広島でうまいお好み焼きを食べることができるとはいっても、東京の人が、これを広島までわざわざ出向いていって食べることは難しいだろうし、また、広島から東京に、アツアツのお好み焼きを送ることは、非常に難しい。
     したがって、スポンサーマネーによる収入は、以上の条件に合致して、多額のマネーを出してくれる企業をそうやって探すか、ということが、これを左右する要因になります。また、入場料収入のところでも述べた、いかに魅力あるチームを創るか、ということが、重要なカギになっていることは、言うまでもありません。

     そして最後に、テレビマネーの話ですが、テレビは広告のための手段ですから、これを決定する要素は、スポンサーマネーと同じです。

     次回は、以上に説明したことを踏まえ、イタリアの国内事情について、サッカーとからめながら、クラブのオーナーシップのことについての説明も交えながら、触れていきます。



     第13回 NPBにおける受難の時代 〜その13〜 MB Da Kidd


     さて、前回は、セリエAのサッカービジネスの基本となっている、テレビマネー、スポンサーマネー、ならびに入場料収入について詳しく説明しましたが、今回は、これらを踏まえた上で、イタリア国内の事情とサッカーの関係について、まずはオーナーシップの面から触れていきたいと思います。

     最初に、今週この話を進めていくにあたって理解しておかなければならないことは、サッカーが、イタリア人にとっての生活の一部になっているということです。したがって、サッカーのクラブは、そのクラブがある地域の共有財産であり、そのクラブがどんなに赤字になろうとも、*1解散する可能性は、限りなくゼロに近いということです。したがって、そのクラブのオーナーやスポンサーが倒産したからといって、クラブが解散することはまずありえない話ですし、また、どんなに多額の累積赤字を抱えても解散しないので、これは、政府が行う公共事業と同じような公共性を持っています。

     したがって、クラブのオーナーとなる企業、ならびに投資家にとって、サッカーのクラブを所有するということは、ある地域における最も重要な広告塔を獲得する、ということでもあります。つまりオーナーにとって、サッカーのクラブを所有するということは、イタリア経済における大きなステイタスを得て、その地域の顔となることにつながると同時に、クラブの負債について、ポケットマネーですべて穴埋めする責務を負う、ということでもあり、クラブのある地域に住む人々の感情の発露を受け止めねばならない、ということでもあるのです。それであるがゆえに、イタリアでは、『サッカークラブを持つことは、オーナーの道楽である』と言われており、しっかりとした、サッカーに理解があって、これに熱中できるオーナーがつくことが、クラブにとっては大変重要になります。

     そして、このようにしっかりとしたオーナーがつくクラブでは、自然とオーナーからの投資額は増え、有名選手獲得などのクラブ強化費に潤沢な資金が回ることになるので、人気クラブとなってきて、スポンサーも、つきやすくなります。ちなみに、この方法でここ15年、急速に台頭してきたのが、2003年6月現在、中田英寿選手が所属するパルマです。このチームは、パルマラットという乳製品を取り扱う会社のオーナー、カリスト・タンツィの、スポーツのクリーンなイメージを企業の宣伝効果に最大限利用するという経営戦略によって、1987年ここに買い取られて以来、その3年後にはセリエAに昇格し、この1990年にいきなりUEFAカップ(ヨーロッパの強豪クラブが出場するクラブ選手権)出場権を獲得したかと思うと、1995年にはこれを制し、スクデットを争えるほどの強豪クラブへと成長を遂げました。

     では、パルマ以外のセリエAの人気クラブとはどこでしょうか?それはまず第1に、国民的人気を誇るユヴェントス、続いてACミラン、それからインテルというビッグ3です。これら3クラブ、特にユヴェントスは、イタリアサッカーの象徴ともいっていいチームで、スクデット(セリエA優勝)を獲得した回数も、他のチームのはるか上をいきます。
     そのほかには、中田選手が在籍していたASローマ、ならびにラツィオが人気です。そして、上記のビッグ3と、このASローマやラツィオといったクラブは、資金も潤沢で、スタープレイヤーを多く獲得し、常に優勝を争っています。

     では、これら6クラブの資金が潤沢であるのはなぜでしょうか?次回は、そのことと、イタリア経済との関連について、見て行きます。

    *1 もちろん、100%倒産しないというわけではないが、倒産した場合、セミプロのディレッタンティというリーグにクラブは降格となり、セリエAからはおろか、セリエB、ならびに、セリエC1やC2からも追放される。
     イタリアのサッカーリーグは、セリエA>セリエB>セリエC1>セリエC2となっており、ここまでがプロリーグである。そして、その下に、ディレッタンティというセミプロのリーグがあり、さらにその下に、無数のアマチュアクラブがあって、これらも序列化されている。

    【参考文献】

     『奥の奥まで見えてくる セリエA スーパー観戦術』 富樫洋一・高山港著 詳伝社 1999年



     第14回 NPBにおける受難の時代 〜その14〜 MB Da Kidd


     さて、前回は、イタリアにおいてサッカークラブを持つことの意味を示し、セリエAにおける強豪6クラブの資金が潤沢であることを指摘しました。そこで今回は、これを踏まえ、さらに、イタリア経済とからめて、セリエAの事情について述べていきたいと思います。

     まず最初に、前回名前を挙げた強豪クラブ、ユヴェントス、ACミラン、インテル、ASローマ、ラツィオ、パルマの6クラブに共通していることとは何でしょうか?
     これは、このシリーズの第10回のMLBのNYヤンキースの例を踏まえて考えた方はすぐおわかりでしょうが、いずれのチームも、首都ローマ以北の、裕福な都市をフランチャイズにしているチームであるということです。ユヴェントスは、イタリア自動車産業の中心で、産業博覧会やモーターショーがよく開催されることで有名なトリノがそのフランチャイズですし、ACミランやインテルはファッション産業で名高いミラノがフランチャイズで、ASローマやラツィオは、首都のローマがそのフランチャイズです。またパルマのフランチャイズのパルマは、めぼしい産業が食品産業ぐらいしかない小さな町ですが、非常に生活水準が高い裕福な町として、イタリア国内では有名です。
     それから、この6クラブのオーナーの名前を挙げていくと、パルマのオーナーは前回でも述べたとおり、世界的な乳製品企業、パルマラットのオーナー、カリスト・タンツィですが、ユヴェントスのオーナーは、フェラーリとアルファ・ロメオを傘下に置くFIATというイタリア第一の自動車製造企業のオーナー、ジョヴァンニ・アニェッリ、ACミランのオーナーは、イタリアのメディア王で、フィニンヴェストグループというイタリア第2の従業員数を誇るコングロマリットの総帥たる、シルヴィオ・ベルルスコーニ首相、インテルのオーナーは、サラスというヨーロッパ有数の石油精製会社を所有するアニェッリ一族の3男、マッシモ・モラッティ、ASローマのオーナーは、大手建設会社の社長にして、イタリアに広大な不動産を所有する有名実業家、フランチェスコ・センシ、ラツィオのオーナーは、イタリア国内ではパルマラットに続く第2の食品会社・チリオのオーナー、セルジョ・クラニョッティといった具合に、いずれも、サッカーにはカネを惜しまない、強力オーナーの面々です。
     したがってこれらのクラブは、地の利がある上に、強力オーナーがついていることもあって、人気があり、強豪チームでもあるわけです。

     ところが、これとは逆に、没落の憂き目に遭ったクラブもあります。1980年代後半、マラドーナ(元アルゼンチン代表)やカレッカ(元ブラジル代表、元柏レイソル)といったスタープレイヤーの存在もあって、1986-87シーズン、1989-90シーズンにはスクデットも獲得したことのあるナポリは、その後財政難に陥り、1997-98シーズン後にセリエB降格してから、セリエAに復帰できたのは2000-01シーズンにかけてのみで、すっかりセリエBに定着してしまいました。そこで、ナポリの地元の経済はどうなっているのかということを考察してみると、歴史的・芸術的な遺産は多くあり、文化の宝庫として観光のメッカになってはいるのですが、農業以外にめぼしい産業がなく、典型的なローマ以南の都市の経済になっているのです。また、オーナーのフェルライーノ自身も近年は事業不振ということもあって、大金を出せる状況にはありません。

     したがって以上のことを踏まえますと、セリエAには、イタリアにおける経済問題、つまり、ローマ以北と以南とで経済格差が存在するというイタリア南北問題なのですが、これが反映されているのではないかと推測されます。そして、それを裏付けるデータとしては、2002-03シーズンにおけるセリエAの全18チームのうち、ローマ以南に所属するチームは、2003年6月現在中村俊介選手の所属する、レッジーナのみという事実があります。つまり、ローマ以南にあるプロのクラブは、フランチャイズの経済基盤が弱いことと、強力なオーナーやスポンサーがいないということで、クラブ強化にかけられる資金が限られてきており、その結果、セリエAの恩恵にあずかれるチームの数が激減しているということです。

     次回は、今回述べた事情を踏まえ、セリエAを襲った財政危機事情について、説明していきます。




     第15回 NPBにおける受難の時代 〜その15〜 MB Da Kidd


     さて前回は、イタリア経済とセリエAの事情の関連について述べましたが、今回はその続きで、セリエAを襲った財政危機事情について、説明していきます。

     1992年5月、ルパート・マードックのBSkyBがプレミアリーグ(イギリスのプロサッカーリーグ)の独占放送権を5年間分、従来の5倍程度の3億400万ポンドで獲得して以来、ヨーロッパのサッカーシーンでは、放映権の暴騰が始まりました。そして、それによって収入が拡大したクラブの足元を見た有名選手の代理人たちは、従来のボスマン判決の年俸高騰の流れにさらに乗り、クラブ側に高額な年俸を要求し、クラブのオーナー同士の競争心を煽って、彼らの投資意欲に火をつけたのです。するとその結果、血で血を洗うような有名選手の獲得競争がなされるようになり、サッカー選手の年俸は、天文学的速度で上昇して行きました。これが選手の年俸バブルの始まりです。
     そしてその結果、クラブは多額の負債を抱えることとなり、このセリエAにもついにそのときがやってきました。強豪クラブ、フィオレンティーナの破綻です。

     2002年8月1日、かつてアルゼンチン代表として世界的に有名なバティことバティストゥータ選手を抱えていたこのフィオレンティーナの破綻は、セリエAの世界に衝撃を与えました。ディレッタンティ行きは避けられましたが、チームはセリエC2に降格、オーナーと経営陣は一新したのです。

     フィオレンティーナの破綻の原因は、オーナーだったヴィットーリオ・チェッキ・ゴーリの借金問題です。ヴィットーリオはイタリア映画界No.1の実力と言われていた人物でしたが、そのビジネスのパートナーであった妻リタと離婚し、その財産の半分を失ったことで、急に資金繰りが行き詰りました。チェッキ・ゴーリ・グループの財政状態が悪化したのです。
     そして、2001年6月には、セリエA登録料として毎年支払わなければならないはずだった1,320億リラ(当時のレートで約83億円)を請求されたのに、これを支払えないという事態が発生したのです。このときはクラブも、ポルトガル代表のルイ・コスタ選手を放出するなどして何とか資金を調達したのですが、この年の11月14日には、4ヶ月間給料が未払いになっていた選手たちが、支払い催促状を選手連盟に提出したのです。

     フィオレンティーナがこうなってしまった原因については、イタリア在住でサッカーについての記事をワールドサッカーダイジェストに寄稿されている片野道郎さんの説明によれば、フィオレンティーナがヴィットーリオのワンマン体制で、しかも、セリエAのビッグクラブとしての体裁としてのきちんと分業が進んだマネジメント体制になっていないから、ということなのだそうです。
     つまり一般企業にもよくある話ですが、実力以上に背伸びして事業を拡大したために借金が膨らみすぎて倒産するのと同じく、背伸びして積極投資を行い、スター選手を集めまくった結果、借金が膨らみすぎて、資金繰りがさらに悪化したということなのでしょう。

     また、株式マーケットに上場し、自立したクラブとしての姿を模索していたラツィオも、親会社のチリオが1億5,000万ユーロ(当時のレートで約186億円)の*社債を償還できずに、株式がミラノ株式市場にて取引停止になったことで、同様に激しく株価が値下がりし、取引停止になってしまいました。
     チリオの財政難の原因は、会長兼ラツィオオーナーたるクラニョッティ会長の投資の失敗にあると言われています。

    *社債 会社が借金として調達したい資金を、分割してマーケットに公開し、証券として売ることで、調達する方法。同じマーケットで資金を集めるのでも株式と違う点は、会社の借金なので、必ず社債券を買った人に、お金を返さなければならないということ。

     つまり、セリエAを襲った財政危機は、フィオレンティーナのケースにしてもラツィオのケースにしても、極度に親会社や強力オーナーにクラブが依存するクラブの状況があるがために、親会社やオーナーの不振によって、クラブが運命共同体になってしまうことの象徴でもあるのです。

     次回はさらに、セリエAの財政危機事情を考察していきます。

    【参考文献・サイト】

     『奥の奥まで見えてくる セリエA スーパー観戦術』 富樫洋一・高山港著 詳伝社 1999年
     特集・現地密着レポート 太陽の国からサッカーを追って 垣内一之著
    > http://www.plala.or.jp/hobby/bravo/tokusyu/no_7/1-3.html



     片野道郎のイタリア通信 2000.2.18. フィオレンティーナの危機
    > http://www.fantasista-net.com/2002club/backnumber/column/italy/katano089.html

     CALCIO TODAY 2002.11.11. Second_wind著
    > http://members.jcom.home.ne.jp/calciotoday/021111.html


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