俺が好きなスポーツ by ダイスポ アメリカン・スポーツワールド編

     「アメリカン・スポーツワールド」


     ■連載第12回 「時速300kmの大迫力!NASCAR入門」
     ■連載第23回 「NBAより面白い?アメリカ大学バスケットボールの世界」
     ■連載第26回 「インディカー日本上陸!」


     第12回 「時速300kmの大迫力!NASCAR入門」


     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。本日の「俺スポ」は特別企画、アメリカン・スポーツワールドをお送りしてまいります。
     イチローや、野茂投手の活躍でアメリカンスポーツがずいぶん身近になったと思われがちですが、まだまだ本当の面白い部分が知られているとは言えません。またアメリカのファンなら誰でも知っているが、日本ではいまひとつ知名度の無い人についても、本連載でどんどん取り上げてご紹介していきたいと思います。ご意見ご感想などございましたら、掲示板の方まで書き込みしてくださいね。


     さて、今日のお題はNASCAR。これは「ナスカー」と読みます。National Association for Stock Car Auto Racingを略したものです。アメリカの、そこらへんの道を走っている市販車と同じような形のレースカーで、レースを行う団体の名称がNASCARです。
     日本でよく知られているモータースポーツといえば、まずはなんと言っても世界の最高峰F1、国内のトップレースであるフォーミュラ・ニッポンなどがありますね。インディカ−レースを代表するCARTも、高木選手や中野選手の活躍により日本で人気が上昇しています。しかしこれらの、いわゆるフォーミュラカー(レース専用の車)レースより、アメリカではNASCARのほうがずっと人気があります。たとえば、「ミハエル・シューマッハ」と言っても多くのアメリカ人はその名前すら知りませんが、NASCARのトップレーサーは、多くの人々に知られた人気者となっています。


     ではこのNASCARの魅力とは、いったい何なのでしょうか。
     最初に上げられるのが、その圧倒的なスピードでしょう。NASCARでは、「オーバルコース」と呼ばれる楕円形の道路をグルグル回りつづけます。F1レースのようなシケインや、ヘアピンカーブのようなものは存在しません。とにかく小細工抜きに全速力でぶっ走る、その単純明快さがNASCARの最大の魅力であると言っても過言ではありません。といっても、実際にはオーバルレース特有のテクニックが求められるのですが、細かいことを無視しても楽しめるのがNASCARの楽しさだと言えるでしょう。最高速度は、ゆうに時速300kmを超えます。またオーバルコースの為抜きどころがふんだんにあり、レース中順位がめまぐるしく入れ変わります。「ポール・トゥ・ウィン」(トップでスタートし、そのままゴール)などというのは、NASCARでは殆どありえません。


     オーバルコース自体は、CARTでも採用されているものなので、NASCAR特有のレースコースと言う訳ではありません。しかしCARTとの最大の違いは、パワフルかつラフなレース展開にあります。フォーミュラカーに比べてガッシリした作りになっているNASCARのレースカーは、多少他の車と接触してもお構いなしに走りつづけます。むしろこのガツガツとぶつかり合う迫力が、NASCARのもう一つの魅力でであると言っても決して過言ではないでしょう。


     ここまで聞いて、あれ?なんかこれ映画で見たことあるな、と思われた方がいらっしゃるかも知れませんね。そうです!トム・クルーズ主演の映画「デイズ・オブ・サンダー」は、まさにこのNASCARの世界を描いた興奮のストーリーでした。もしお近くのレンタルビデオ屋さんにこの映画があったら、是非一度ご覧になってみてくださいね。映画ですから脚色はありますが、NASCARがどういうものかという雰囲気を味わうことが出来ます。


    ●amazon.co.jpにおけるデイズ・オヴ・サンダーの紹介ページ


     では現実の、NASCARレースの雰囲気はいったいどういうものなのでしょうか。なにしろ、アメリカ人が絶大な支持を寄せているくらいですから、堅苦しい雰囲気のわけがありません。極めて陽気に、大声援を繰り広げながらレースに参加しています。そして長時間のレースを決して退屈させないような、様々な仕掛けがあるのもこのNASCARの世界です。ビッグレースともなると20万人以上の観客を動員しますから、NFLやメジャーリーグに決してひけを取らない、全米最高の人気スポーツと言っても決して過言ではありません。アメリカのテレビ局では、週末に行われるレース決勝を生中継しています。


     さてこのNASCARの最高峰は「ウィンストンカップ」と呼ばれるシリーズです。年間30戦以上の長丁場を戦うこのシリーズに出場することが、アメリカのレーサーにとって一生の夢となっているのです。そしてなんと!このウィンストンカップに、日本人レーサーが出場することになりました。その名は福山英朗選手。この9月から、3つのレースにスポット参戦することが決定しました。福山は来年以降のフル参戦を希望していますが、もしこのフル参戦が実現したら、野茂やイチローに並ぶ、日本スポーツの歴史に残る快挙と言っても決して過言ではないでしょう。


     いかがでしたか?このNASCARについては、今後も折に触れてご紹介してまいります・・・なに、お前の文章じゃその魅力がちっとも伝わらなかったぞ!ですって?分かりました!じゃあNASCARの公式サイトで、その魅力にじかに触れてみてくださいな。日本でもケーブルテレビ「ガオラ」で中継しているみたいですから、視聴できる人は是非楽しんでみて下さいね。それではまた!


     NASCAR公式サイト:http://www.nascar.com/



    第23回 「NBAより面白い?アメリカ大学バスケットボールの世界」


     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。
     今週の「俺スポ」は、「アメリカン・スポーツワールド」の第二弾といたしまして、NCAA大学バスケットボールを取り上げてみたいと思います。日本ではそれほど知名度の無いカレッジバスケですが、アメリカではNBAに劣らぬ熱狂的な人気を誇っています。今日は皆さんとともに、その魅力に触れてみることにいたしましょう。


     まずこのNCAAとは、National Collegiate Athletic Association(全米大学体育協会)の略です。アメリカの大学スポーツを統括する団体で、バスケットボールもこのNCAAの管理の元シーズンが進んでいくことになります。アメリカの大学スポーツはシーズンが決まっており、バスケの場合は11月から2月までがレギュラーシーズン、そして3月に入るとカンファレンストーナメントと、その年のチャンピオンを決めるNCAAトーナメントが行われるようになっています。


     ではこの「カンファレンス」とは一体何でしょうか?NCAAの一部に所属する学校は、たいていこの「カンファレンス」と呼ばれるリーグ戦に所属しています。たとえば日本でもおなじみの学校が多い、パックテン・カンファレンスにはUCLA、UCバークレー、USC(南カリフォルニア大学)、そしてスタンフォード大学などの有名校が加盟しています。おおざっぱに言えば、日本でいうところの東京六大学のようなリーグ戦が、アメリカ全土に渡って多数組織されていると考えていただければ良いでしょう。もちろんパックテンのような規模の大きい有名カンファレンスだけではなく、小さな地方カンファレンスもあります。しかしたとえ小さな町の大学バスケチームでも、学生のみならず地元住民の強いサポートを受け、その町一番の人気チームであったりします。


     学生スポーツですから当然アマチュアであり、バスケ自体のレベルはプロであるNBAよりも劣るのは確かです。しかし考えてみてください。NBAのチームは、ニューヨークやロサンゼルス、シカゴなどの大都市や、あるいはメンフィスやインディアナポリスと言った、地方の中心都市に本拠地を置いています。球団数もわずか29しかありません。しかもご存知の通り、アメリカの国土は広い。いっぽうNCAAでは、一部加盟校だけで実に300校を超えるチームが所属しています。だから遠くのNBAチームより、おらが町の大学チームの方がより親しみもてるわい、というバスケファンも多くいるのです。また一部の新興NBA球団と違い、大学チームの多くは長い歴史と伝統を誇り、同じ州内のライバル対決ともなるとTVで全国中継される程の人気となります。


     次にカレッジバスケのメインイベントとも言える、3月のNCAAトーナメントについてご紹介いたしましょう。このNCAAトーナメントには、各カンファレンスの優勝チームや、有力カンファレンスの上位チームがズラリと顔をそろえます。そしてトーナメント戦の結果最後の4校に残ったチームが「ファイナル・フォー」として準決勝、決勝を戦うことになります。このNCAAトーナメントの人気はものすごく、とりわけファイナルフォーともなると全米のスポーツファンの注目が集まることになります。その熱狂ぶりを指して「マーチ・マッドネス」3月の狂気、なんて言い方をします。もちろんトーナメントの模様は、全米ネットワークのひとつであるCBSによってTV中継されます。だから日本の高校野球、夏の甲子も真っ青のフィーバーが、3月のアメリカでは毎年起こっているのです。ちなみに今年のファイナル・フォーは、4月5日〜7日にニューオーリンズのスーパードームで開催されます。ここはスーパーボウルなどアメリカン・フットボールの試合にも使用される大きなスタジアムですが、既にチットはとうの昔に完売。NCAAの公式ホームページでは2004年、つまり来年度のファイナル・フォー(開催地:テキサス州サンアントニオ)のチケット発売についての情報が記載されているのです。いかにこのトーナメントの人気が凄いか、これでお分かりいただけたと思います。


     このカレッジバスケットボールからは、たくさんのスター選手がNBAに進み活躍しています。たとえばマイケル・ジョーダンは名門ノースカロライナ大学、怪物センター、シャキール・オニールはルイジアナ州立大学、そしてパスの名人ジェイソン・キッドはUCバークレーと言った具合です。最近ではコービー・ブライアントのような高卒選手や、ヤオ・ミンのような外国人選手も増えてきていますが、NCAAで桧舞台の経験を積みNBAへステップアップしていく選手はまだまだ多いです。
     またこのカレッジバスケの指揮官であるヘッドコーチもまた、NBAのコーチに負けず劣らず高い知名度を誇っています。特にデューク大学のコーチであるマイク・シャシェフスキーは、そのイニシャルから「コーチK」と呼ばれています。さらにインディアナ大学のコーチを解任され、現在テキサス工科大学で指揮を取るボブ・ナイトはその激しい気性と厳しい指導などから、ついたあだ名が「ジェネラル」(将軍)。この2人は、カレッジバスケの世界で最も有名なヘッドコーチであると言えるでしょう。


     まだまだいろんな事をお話したいのですが、どうやらお時間が来てしまったようです。日本でもスポーツ専門チャンネルなどで放送しているようですので、是非このカレッジバスケの試合をご覧になってみてくださいね。それではまたお会いしましょう!



     連載第26回 「インディカー日本上陸!」


     皆さんこんにちは。今回は「俺スポ」特別編としまして、4/13に決勝が行われますインディカーシリーズ「インディ・ジャパン300」についてお伝えしたいと思います。インディカーについてはよく分からない人も、これで日曜のレースが楽しめること請け合いです、多分ね(笑)。


     まず、インディカーシリーズとは何か、簡単にご説明しましょう。これはIRL(インディ・レーシング・リーグ)という、アメリカを中心に開催されているカーレースのことをさします。実際のレースをご覧になってもらえればよくわかりますが、このインディカーにはふたつの大きな特徴があります。


     まずひとつは、F1のようなオープンホイールのレーシングカーを使用するレースであること。だからちょっと見た目には、F1カーとどう違うのかよく分からない方も多いかと思います。
     しかしF1とは異なり、インディカーレースではオーバルコースという楕円のサーキットを走行します。これは前にお伝えしたNASCARと同様ですね。このオーバルコースを、時速350km/hの超高速でドライビングする迫力といったらまさに比類なきものがあります。
     そして日本でこのオーバルコースを持つ栃木県の「ツインリンクもてぎ」が、今回の「インディ・ジャパン300」の開催地となります。IRLにとっては今回のレースが、初の海外レースともなるだけに、今週末はアメリカ国内のインディカーファンの注目も「ツインリンクもてぎ」に集まることでしょう。


     さて、インディカーシリーズの中でも歴史・格式ともに文句無しの最高峰と言えるのが「インディ500マイル」。インディアナポリス・モータースピードウェイで毎年5月のメモリアル・ウィークエンドで開催される「インディ500」は、世界最大のレースイベントとして、またアメリカ・スポーツ屈指のビッグイベントとして、全米はもとより世界中の注目を浴びるレースとしてよく知られています。過去にも様々な名勝負を生み出し、また多くのトップレーサーが「インディ500」制覇のため世界中からインディアナポリスにやってきました。今年はその「インディ500」の前哨戦として開催されることになった「インディ・ジャパン300」。その注目度はいやが上にも増すばかりです。

     ではこの「インディ・ジャパン300」、次に注目の参加ドライバーについてご説明しましょう。


     まずはなんと言っても地元でのレースに燃える日本勢。F1から新天地アメリカに活躍の場を求めた「トラ・タカギ」こと、名実ともに日本のトップドライバーである高木虎之介選手。それにベテランの服部茂章選手と、アメリカ育ちのルーキー、ロジャー・安川選手です。特に注目が集まるのが安川選手。ロサンゼルス育ちの安川ですが、両親の住む祖国・日本でのレースに燃えているようです。

     またこの3名のフル参戦ドライバーに加え、この「インディ・ジャパン300」では中野信治選手の参戦が決定しました。中野も高木同様F1からCARTシリーズで走っていた実績を持つベテランです。中野としてもこのレースで結果を残し、今後のレース活動を有利に展開したい気持ちを強く持っていることでしょう。それぞれ立場や意気込みこそ違え、母国のレースでなんとしても勝ちたい、上位に入賞したいということに違いはありません。


     さらにこのレースが、おそらく日本のファンにとって見納めとなるのがマイケル・アンドレッティ選手。F1元世界王者のマリオ・アンドレッティ氏を父に持つサラブレッドのマイケルは、父同様F1に参戦したこともあるアメリカを代表するレーサーとしての地位を長年ほしいままにしてきましたが、今年5月の「インディ500」を最後に現役引退を表明しました。つまり今回のもてぎでのレースが、彼にとってはラスト2戦前のレースになってしまうのです。引退後もチームオーナーとしてレース界とのつながりは残るマイケルですが、彼のキレた走りを、是非この目に焼き付けておきたいものですね。


     他にも注目のレーサーはたくさんいるのですが、あと一人あげるとすればそれはサラ・フィッシャーでしょう。サラという名前で判るように、この人は女性ドライバーなのです。レースの世界にもちろん男女の区別はありませんが、トップレーサーがしのぎを削る場であるインディカーシリーズにおいて、まだ22歳のサラが実績を着実に重ね続けていることはまさに賞賛に値します。それにサラが好きな食べ物はハマチのおすしだそうですから、きっと日本でも素晴らしい笑顔と、そんじょそこらの男では決して敵わない華麗なドライビングを披露してくれることでしょう。


     さぁこの「インディ・ジャパン300」、最後に勝利の雄たけびを上げるのは一体誰になるのでしょうか?一時たりとも目の離せない戦いになることは確実です。当日はテレビ中継もありますので、是非皆さんもご覧になってみてくださいね。


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