嵐と地震とエンジェルズ by 3:16

    第56回 “No Way, Jose!”:カンセコ、GBLに現る(July 9th, 2006)



     (第56回) “No Way, Jose!”:カンセコ、GBLに現る


     前回、エンジェルズ2004年ドラフト1位のジャレッド・ウィーバー投手のメジャー昇格をお伝えしましたが、その後の活躍ぶりは期待を大きく上回る目覚しいものでした。
     4ゲームに登板して4勝0敗、合計26イニングと1/3を投げて防御率1.37、奪三振22個に対してフォアボールは4つだけ。
     コロンが戻るからと言って、この成績のピッチャーをマイナーに送るべきなのか?と論争が起きるほどの活躍ぶりでした。


     問題の論争についての記事


     マイナーの3Aでも今季6勝1敗の投球ぶりで、結局、皮肉にも低迷を続ける兄のジェフ・ウィーバーをチームから追い出してしまう結果になりました。


     7月3日の登板はマリナーズ戦でしたので、TVでご覧になった方も多いかもしれませんが、7イニングズを投げて1失点、ヒット5本、奪三振9個、フォアボール1個でまたまた勝ち投手に。


     つづく7月8日もA's戦でイニングズを0失点、ヒット2本、奪三振5個、フォアボール2個とすばらしいピッチングでした。
     これで、メジャー先発6連勝です。
     そのうちに他チームから研究され、打たれて苦しむ時期も来るとは思いますが、持ち前の思い切りのいいピッチングを失うことなく自信を持って、兄貴の分も頑張ってもらいたいと思います。


     さて、今年のタイタンズですが、見事にリージョナルを勝ち抜き、そしてスーパーリージョナルではミズーリ大を2度破って勝ち抜いて、2年ぶりにカレッジ・ワールドシリーズに駒を進めました。
     第52回で挙げた4人(ブレイク・デイビス遊撃手、ブレット・ピル1塁手、新エースのウェス・ローマー投手、クローザーのビニー・ペスタノ投手)の他、4年生のジャスティン・ターナー2塁手、ダニー・ドーン外野手などを中心に、決して最後まであきらめない粘り強さをチーム・カラーに、快進撃を続けました。
     カレッジ・ワールド・シリーズでも、シーズン中からのチームカラーに違わず、ジョージア・テック、クレムゾンに連日のミラクル逆転勝ちを収めたものの、ノース・カロライナ大に6−5で敗退し、決勝まであと一歩のところで敗れ去ってしまいました。
     この最後のゲームも、終盤の8回に1点差まで追い上げ、スクイズバントが相手クローザーのアンドリュー・ケリガン投手の正面に行ってしまいホームでアウトになるという惜しいゲームでした。
     最後はノース・カロライナ大が今年のドラフトでタイガースに1位指名(全体の6番目)されたエースのアンドリュー・ミラー投手を投入して、粘るタイタンズを振り切りました。


     タイタンズの1年生、デビッド・クーパー1塁手/投手は本当に大活躍で、カレッジ・ワールド・シリーズでの7打席連続ヒットも達成しました。
     これは、バリー・ボンズ、デーブ・マガダンの8打席連続に続く記録で、テリー・フランコーナと並んで第2位です。
     そうそうたる顔ぶれの大舞台での記録に、1年生で仲間入りしたところなど、大物を予感させますね。


     それから、さる6月29日、GBL(ゴールデン・ベースボール・リーグ)のサンディエゴ・サーフドッグズと、あのホゼ・カンセコが契約した、という興味深いニュースがありました。昨年リッキー・ヘンダーソンがプレイしたチームですね。


    *GBLについては、第42回第45回をご参照ください。


     7月3日のチコ・アウトローズ戦に出場して、あいにく空振りの三振3つとデッドボール、という結果でした。


     翌日には、娘の養育の問題があるからロサンゼルスのチームにトレードして欲しい、と申し出て、ロングビーチ・アラメダに移籍しました。このチームはダリル・エバンスが監督をやっているんですよ。
     本人は、(過去にキャリアをぶち壊すきっかけにもなったはずの)ピッチングにも色気を見せていて、「ぜひ俺のナックルボールを披露したい」と息巻いているそうです。
     せっかくですから観にいってみようと思いますが、5年のブランクを空けて、どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか?

     7月2日に42歳になったカンセコですが、数年間のステロイドの使用のお陰で老けずに済んだ、とうそぶいているようです。
     「まだまだ野球界を震撼させる薬物ネタを持ってるぜ。」とも言っているようです。
    相変わらずのお騒がせクン振りですね。


     Anaheim市とAngelsの裁判は、第52回でお知らせしましたとおり、エンジェルズの全面勝訴で決着しました。
     エンジェルズ側は、裁判での慣わし通り、訴訟にかかった費用約$7MMをAnaheim市に請求しましたが、市側は上告することを決めました。

     実のところ、これだけはっきり判決が出ていると、Anaheim市側が逆転勝訴する可能性は極めて低いのですが、市長のカート・プリングル氏は、すでに市税を散財した上に敗訴してしまっていますので、事実上2月の判決で政治生命を断たれている、と言っても過言ではないと思います。
     ですから、さらに市税を散財することになると判っていながら、上告するしか選択の余地はなかったと言うことでしょう。
     上告の結果は、来年の2007年シーズンのさらに後頃までかかる見通しです。


     市にとってもチームにとってももはや不利益でしかない裁判を長引かせるのは、私利私欲を優先し、つまらないプライドをかけた時間稼ぎでしかありません。


    (July 9th, 2006) 

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