俺が好きなスポーツ by ダイスポ 日本スポーツ物語編

     スポーツ総合講座 〜その4〜 ラグビー・ワールドカップカウントダウン−1−


     ■連載第25回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第1回 ラグビーにもワールドカップ? 

     ■連載第28回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第2回 ワールドカップの概要について 

     ■連載第31回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第3回 日本代表、ワールドカップ出場への道 

     ■連載第33回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第4回 どうなるどうする?日本代表 ワールドカップを前に大苦戦続く 

     ■連載第35回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第5回 いよいよ近づくW杯開幕! 



     連載第25回「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」

    第1回 ラグビーにもワールドカップ? 


     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。
     「俺スポ」今回からは新シリーズとして、今秋オーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップについて取り上げていきたいと思います。日本人にとってあまり馴染みがあるとはいえない、ラグビー・ワールドカップとは一体どのようなものなのでしょうか?皆さんといっしょに学んでいくことにいたしましょう。
     まず今回はその第一弾として、ラグビーのワールドカップとは何なのか、その歴史についてご説明申し上げたいと思います。

     読者の方々の中には、

     「えっ、ラグビーのワールドカップなんてあるの?」
     「サッカーのワールドカップなら知っているけど、ラグビーのワールドカップなんて聞いたことが無いよ!」

     と驚かれた方がいらっしゃるかも知れません。確かに、いまや日本では、ワールドカップと言えばなんと言ってもサッカーの世界選手権の事ですよね。2002年に日本と韓国の共同開催で行われ、世界中を熱狂の渦に巻き込んだW杯サッカーは、いまやオリンピックを凌ぐ世界最大のスポーツイベントとして、日本のスポーツファンにとってもっとも重要な大会となりつつあります。
     また他にも、バレーボールのワールドカップなどが、日本では従来から馴染みの深い「ワールドカップ」という名称のつけられた大会だったと思います。

     では、ラグビー・ワールドカップが初めて開催されたのは、一体何時のことだったのでしょうか?その歴史は浅く、実は1987年が第1回の大会だったのです。もともとラグビーは、アマチュアリズムを堅く守る姿勢を保ちつづけてきました。そして伝統的なテストマッチ(国を代表するチーム同士の対抗戦)による国際交流のみを長年行ってきたのです。ところが、国際ラグビーのレベルアップや人気拡大などに伴い、ラグビーにおいても世界一を決めるトーナメントを開催しようと言う機運が徐々に高まり、遂に1985年、ラグビー・ワールドカップの創設が国際ラグビー連盟(IRB)により承認され、1987年に第1回ワールドカップが豪州とニュージーランドの共同開催により行われました。
     この記念すべき第1回大会の覇者となったのが、あの世界一の破壊力を誇る最強軍団、ニュージーランド代表・オールブラックスでした。あの試合前の儀式「ハカ」は、ラグビーをよくご存知無い方でもきっと聞いたことがあると思います。「カマテ、カマテ、カオラ、カオラ」という勇ましい踊りですね。このオールブラックスが圧倒的なパワーとスピードを駆使して世界中の強豪を蹴散らし、決勝でも北半球の雄・フランスを破ってワールドチャンピオンに輝きました。

     続く1991年の第2回大会では、ラグビー母国・イングランドが、準決勝でニュージーランドを破り勢いに乗る豪州代表・ワラビーズとの決勝戦を戦いました。場所はロンドン、トゥイッケナム競技場。エリザベス女王の見守られる中、イングランドは母国のメンツに賭けて果敢なアタックを見せましたがあと一歩及ばず、ワラビーズが第二代世界チャンピオンの座に就きました。

     1995年の第3回大会は、アパルトヘイトを撤廃し国際社会に復帰した南アフリカで開催されました。実はこの南アフリカの代表である「スプリングボクス」は、長年幻の強豪といわれてきたのです。オールブラックスと同等、またはそれ以上の力を持つといわれながら、国際交流を一切禁じられてきた南アフリカ。その鬱憤が、この第3回大会では一気に爆発しました。いきなり初出場にして、決勝戦にまでコマを進めてきたのです。対するは8年ぶりの世界制覇に燃えるNZオールブラックス。NZには、その巨体から繰り出すパワフルな走りを見せるエース、ジョナ・ロムーを擁していました。いかにしてロムーを止める事が出来るかが、南アにとって勝利のカギを握っていました。

     決勝戦は一進一退の攻防が続き、本戦では決着が付かず延長戦にもつれ込みます。そして遂に死闘を制したのは、地元南ア・スプリングボクスでした。ロムーとオールブラックスは、まさかの敗戦に呆然と立ち尽くしていました。
     対照的にネルソン・マンデラ大統領から、スプリングボクス主将・ピナールに優勝カップが渡された瞬間は、新しい南アフリカの時代がやってきたことを世界中の人々に印象付けることとなったのです。

     続く1999年の第4回大会は、豪州がフランスに競り勝ち、2回目の優勝を勝ち取っています。
     第1回、ニュージーランド、第2回豪州、そして第3回南ア、そして第4回再び豪州。
     このように歴代ワールドカップ王者は、全て南半球の国々が獲得して来ました。北半球のイングランドとフランスは、準優勝にとどまっています。果たして今年の第5回大会は、北半球の国々が遂に栄冠を勝ち取るのか?それとも再び、南半球勢のまえに敗れ去ってしまうのでしょうか。そしてわが日本代表は、悲願の決勝トーナメント進出を決めることが出来るのでしょうか?
     しかしお時間が参りました。第5回大会の概要については、次回のこのコーナーでお伝えすることにいたしましょう。



      連載第28回 「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」 第2回 ワールドカップの概要について


     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。
     前回から始まりました「俺スポ」の新シリーズ、今秋オーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップについての第2回です。今回のラグビー・ワールドカップは、一体どのようなチームが出場し、優勝を狙っているのでしょうか?皆さんといっしょに学んでいくことにいたしましょう。

     まず前回のおさらいとして、過去の優勝・準優勝国をもう一度整理してみましょう。

    第1回大会(1987)優勝:ニュージーランド 準優勝:フランス
    第2回大会(1991)優勝:オーストラリア 準優勝:イングランド
     第3回大会(1995)優勝:南アフリカ 準優勝:ニュージーランド
    第4回大会(1999)優勝:オーストラリア 準優勝:フランス

     このように、過去の4大会では南半球の強豪3カ国が優勝を独占しています。北半球の国々もなんとか決勝までは進出してくるのですが、まだ優勝カップを持ち帰るまでにはいたりません。
     今回も前回の覇者、オーストラリアでの開催という事もあり、当然このオーストラリア代表「ワラビーズ」を中心に優勝争いが行われることになるでしょう。
     このオーストラリアでは、あの激しいプレーで知られるオーストラリアン・ルールズ・フットボール(日本での通称はオージーボウル)や、同じラグビーでも13人制のラグビー・リーグに長年人気の面で水を開けられ、15人制のラグビー・ユニオンは苦しい戦いが続いてきました。しかしここ10年、ワラビーズが国際舞台で華々しい活躍を残して来たこともあり、ラグビー・ユニオンの人気も非常に高まってきているようです。今回も地元の熱狂的な声援を味方につけて、戦いを有利に進めてくることでしょう。

     そしてニュージーランド。世界最強軍団・オールブラックスは、第1回を圧倒的なパワーで優勝して以来、この15年間もの間世界タイトルには縁がありませんでした。豊富な選手層を誇るブラックスは、毎大会優勝候補に挙げられているのですが、なぜか栄光にあと一歩手が届かないのです。今回こそは、の意気込みは人一倍強いことでしょう。

     さらにもう一方の南半球の雄、南アフリカ代表「スプリングボクス」ですが、こちらは近年低迷が続いています。この3カ国は毎年ホーム・アンド・アウェー方式で対戦する「トライネーションズ」を開催しておりますが、昨年のトライネーションズでは、南アは1勝3敗の最下位。3勝を挙げた優勝国ニュージーランドと、2勝2敗と五分の成績を残したオーストラリアの後塵を拝しました。
     更に南アは、昨年秋の北半球遠征において、イングランドに3−53と記録的な大敗を喫してしまいました。おまけにフランスとスコットランドにも敗れてしまい、これで南アは完全に窮地に立たされた、と言っても良いでしょう。いかにして本大会までに巻き返してくるのか、注目です。

     そしてこの南半球3カ国に立ち向かうチャレンジャーとも言えるのが、北半球の「6ネーションズ」各国でしょう。これは英国系の4協会、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズに加え、フランス、イタリアの合計6カ国になります。
     このうち、北半球初のW杯優勝に今もっとも近いといえるのがラグビー母国・イングランドでしょう。昨年の秋にホームで南アを撃破したイングランドは、オールブラックスを31-28の僅差で、そしてワラビーズをも32-31のわずか1点差で破り、地元ロンドンっ子たちを狂喜させました。もちろん今回のワールドカップはアウェーでの開催となる為、地元ロンドンで戦うようにはいきません。しかし長年の「南半球コンプレックス」から脱し、遂に悲願の優勝カップを持ち帰ってくれるのではないか…という、ファンの期待がどんどん高まってきているようです。
     事実イングランドは今年の冬に行われた6ネイションズでも、フランスを25-17で破ったのをはじめ、5戦全勝の圧倒的な成績で優勝を飾りました。これで期待するな、と言うほうが無理な話ですよね。

     さて、それではここで、今大会の参加20ヶ国をざっとご紹介しましょう。予選プールでは、同一プールに入った5カ国が総当りで対戦します。

     プールA:オーストラリア、アルゼンチン、アイルランド、ナミビア、ルーマニア
     プールB:フランス、スコットランド、フィジー、日本、アメリカ
     プールC:南ア、イングランド、サモア、グルジア、ウルグアイ
     プールD:ニュージーランド、ウェールズ、イタリア、カナダ、トンガ

     前回大会のベスト8は自動的に出場権を獲得しており、残り12の椅子を巡って予選が行われてきました。そして最後の出場国が先週、スペインを破ったアメリカに決定し、日本と同じプールBに入ってきました。さて、この強豪たちと対戦する日本代表は、一体どのような強化スケジュールを立て、またどんな選手達が晴れの出場メンバーに選ばれているのでしょうか。こちらは、また来月じっくり見ていくことにしましょうね。
     〜ラグビーW杯開幕まで、あと162日〜



     連載第31回「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」 第3回 日本代表、ワールドカップ出場への道



     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。
     今回の「俺スポ」は、毎月1回お送りしております、今秋オーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップについての特集・第3回です。6月は筆者多忙につき、1回連載をお休みさせていただきました。どうも失礼致しました。また今回から、ワールドカップについての基礎知識と、最新情報をいろいろとお伝えしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

     今回は、世界の強豪たちに立ち向かう、ラグビー日本代表についてお伝えしてまいりたいと思います。
     ラグビー日本代表、と聞いて、皆さんはどんなイメージをお持ちになるでしょうか。ラグビーは好きだ、という方でも、実際に日本代表の試合をご覧になった事がある、という方は意外に少ないと思います。これは日本のラグビーが、早稲田、明治、同志社などの所謂大学ラグビーに人気が集中し、国際試合にあまり目が向いて来なかったことが原因だと思います。サッカーなら、日本代表に最も注目が集まり、Jリーグはその次、大学サッカーが1番好き…という方は少数派だと思いますが、ラグビーにおいては「代表や社会人の試合は興味ないけど、ワセダの試合は全部見るよ」という人が結構多いのです。それはそれで構いませんが、やはりワールドカップ・イヤーくらいは、我らが日本代表に熱い声援を送っていただきたいと思いますね。

     さてこのラグビー日本代表、驚くなかれ、1987年の第1回大会居以来、全てのワールドカップに出場している「常連国」なのです。ただし第2回大会(1991年)のジンバブエ戦に勝利した以外は、全ての試合で敗れるという悔しい結果に終わっています。4年前の前回大会では、同志社大学、そして神戸製鋼で一時代を築き上げた天才ラガー、平尾誠二氏を監督に任命し、最強のメンバーを組んで大会に臨んだものの、残念ながら世界の厚い壁を跳ね返す事が出来ませんでした。
     そこで日本代表は、東芝府中の向井昭吾氏を新監督に任命。さらに関東学院大学出身、NEC所属のフランカー箕内拓郎選手をキャプテンに任命し、昨年行われたワールドカップ・アジア地区予選に臨むべく始動ました。また日本ラグビー協会は、世界的なプロ化の中、選手に日本代表の強化スケジュールに専念してもらうべく選手と契約を結び、期間中は強化スケジュールに専念してもらう体制が整いました。そんなの当たり前じゃないか…と思われるかも知れませんが、今までは所属企業の都合などで、代表の強化合宿に参加辞退する選手も多く、必ずしも充分な強化ができないという事情があったのです。

     反面、欧州や南半球のトップ選手は完全プロ化し、一年中ラグビー漬けの日々を送るケースがほとんど。もともと世界との差がある上に、これではますます彼我の実力差が開くばかりです。つまり「企業スポーツ」という独特のシステムを持つ日本は、世界のラグビーの流れに置き去りにされてしまった形になっていましたが、日本代表活動期間のみの“期間限定プロ”という形で、ワールドカップ予選に臨む事になりました。
     そしてアジア予選は、2002年6月に日本で始まりました。当時はサッカー・日韓ワールドカップ期間の真っ最中。日本中の注目がトルシエ・ジャパンに注がれる中、日本は宿敵韓国、そして台湾と戦いました。アジアの枠、はたった1つ。その結果は…

     6/16(国立)日本 90−24 韓国
      7/6(国立)日本 155−3 台湾

     終わってみれば、日本の圧勝。最も重要なホームの韓国戦、日本のエース大畑大介(神戸製鋼)栗原徹(サントリー)の2人が大暴れすれば、台湾戦では大畑が1試合8トライの記録達成。また司令塔のアンドリュー・ミラー(神戸製鋼)もゴールキックを決めまくり、日本はホーム2試合で本大会出場をほぼ確実にしました。さらにアウェーでの2試合も、

     7/14(ソウル)日本 55−17 韓国
     7/21(台南) 日本 120−3 台湾

     と、文句無しの圧倒的な内容で、日本が出場権を獲得しました。
     もはやアジアでは敵無しの日本ですが、もちろん、こんな事で喜んでいる場合ではありません。本大会で日本が対戦するのは、韓国や台湾とは比べものにならない強豪そろいです。この日から、向井ジャパンの本当の戦いがスタートすることになったのです。そしてその戦いの中は、想像を超える厳しい現実が待ち受けていました…

     いかがでしたか。次回は本大会を決めてからの、向井ジャパンの苦闘ぶりをお伝えしてまいりたいとおもいます。
     また本日(7/3)と6日、日本は世界の強豪、イングランドとテストマッチを行います。こちらの模様も、来月は併せてお送りしていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに。
     〜ラグビーW杯開幕まで、あと99日〜



    連載第33回「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」 第4回 どうなるどうする?日本代表 ワールドカップを前に大苦戦続く



     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。今回の「俺スポ」は、毎月1回お送りしております、今秋オーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップについての特集、その第4回です。先月のこのコーナーでは、見事アジア予選を圧倒的な強さで勝ち抜き、本大会への出場権を決めた日本代表の鮮やかな戦いぶりを振り返ってみました。悲願の1次リーグ突破に向けて視界良好に思えたジャパンですが、2003年に入って低迷の泥沼に落ち込んでしまいます。果たして、ジャパンは一体どうなってしまうのでしょうか…

     2月のラグビー国内シーズンは、NECが強豪サントリーを破って日本選手権優勝を飾り終了。いよいよワールド・カップイヤーにおける、ジャパンの強化スケジュールが始まりました。1月下旬には最初の代表スコッドが既に発表されていましたが、向井昭吾監督は「このメンバーは7月まで。1度リセットして、改めて30人の代表メンバーを選ぶ」と、選ばれた選手達に安心感を与えず、過酷なサバイバルテストを課すことを宣言したのです。
     3月下旬からの1ヶ月近い豪州合宿を経て、ジャパンは4月15日に帰国。5月には国内での合宿と慌しい強化スケジュールをこなしました。またこの時から、代表ジャージーが従来の赤白を基調としたものから、黒を加えた精悍なデザインにチェンジされました。以前のジャージーは、実に1930年(昭和5年)以来使用されてきた、まさに歴史的なデザインだったのですが、本格的なプロ化を迎え、新しいユニフォームに身を包んで心機一転頑張ろう、という気合が込められての変更でした。
     そしてジャパンは5月17日、敵地サンフランシスコでアメリカ代表「イーグルス」と対戦しました。アメリカは本大会でも対戦する言わば当面の敵。絶対に負けられない試合となりましたが、ジャパンはなんとこのアメリカを相手に、27−69の惨敗を喫してしまいました。前半こそ互角の戦いを演じたジャパンも、後半はイーグルスに攻守で圧倒されてしまい、終わってみれば相手に自信を付けさせるだけの試合内容になってしまいました。ジャパンはさらに、25日に本拠地秩父宮ラグビー場で行われたロシア戦にも34−43で敗戦。この不甲斐ない代表の戦いぶりに、ファンやマスコミからの不満が一気に高まりました。

     6月に入ると、今度は強豪相手との試合がジャパンを待ち受けていました。6月5日、8日に対戦した豪州A代表との2連戦では、5−63、15−66と予想通りの大敗。アメリカやロシアよりさらに強い相手だっただけに、ホームでもこの結果はある程度予想されたものでした。とはいえ、本当なら米露両国を圧倒し、豪州Aにもスコア面で善戦して欲しかったのですが…
     この後の韓国戦には勝利しましたが、これはほとんど参考にならないものでした。

     7月に入ると、今度は北半球の雄、イングランド代表が遠征してきました。しかし「代表」とはいえ、実際にはそのリザーブクラスとなる選手が殆どの二軍。それでもいまや世界有数の強豪となったイングランド代表入りを目指す選手達の集まりだけに、そのモチベーションの高さは折り紙つきでした。その強いイングランド相手に、ジャパンは10−37、20−55とやはり連敗を喫しました。
     今年に入ってからのこの惨状は、ジャパンを長年応援し続けてきた熱心なサポーターたちをガックリさせ、そして怒らせてしまいました。とにかく、代表チームとしての統一された戦術や攻撃のプランさえハッキリとした形では見ることが出来ず、しかも肝心なところでミス連発。非難の矛先は、当然向井監督や日本協会に向けられます。ワールドカップまで100日を切り、待った無しの状況の中で、いまだこんな体たらくのジャパンがかつて存在したでしょうか。いままでのジャパンも本大会では大敗を喫してきましたが、大会前にこれほどまでに無残な姿をさらけ出してしまった事は無かったように思います。

     そして7月9日の代表メンバー発表では、なんと日本代表のリーダー的存在でもあった大ベテラン、スクラムハーフの村田亙選手がメンバーから外されると言うショッキングな「事件」も起こりました。何があったかは知る由もありませんが、唐突な人事、という印象は拭い去る事が出来ませんでした。村田ほどの功労者を外すには、やはり納得できるきちんとした説明が欲しかったと思います。そういう意味でも、いまのジャパンはまだまだ、プロの戦闘集団にはなりえていないと言う事なのでしょう。
     ともあれ、ワールドカップの開幕はどんどん近づいてきます。各国とも代表の強化に余念が無い中、ジャパンは実戦形式のテストが殆ど予定されておらず、ますます不安は高まる一方。一応緊急合宿をこなし、8月下旬には国内チームとの対戦が予定されているようですが、果たしてこの程度の強化でどれほどの調整ができるのか、大いに疑問です。しかし、今更泣き言を言っても仕方がありません。いまはジャパンを信じて、心からその活躍を祈るしかないでしょう。もはやそういう「奇跡」を願うようなレベルまで、わがジャパンは堕ちてしまったのです。

     さぁジャパンは苦闘を続けておりますが、本大会で優勝を狙う各国の動きはどうでしょうか?来月のこのコーナーでは、南半球の王者決定戦「トライネ−ションズ」を中心に、優勝候補たちのこれまでの歩みを振り返ってみたいと思います。どうぞお楽しみに。
     〜ラグビーW杯開幕まで、あと64日〜



     連載第35回「ラグビー・ワールドカップカウントダウン!」 第5回 いよいよ近づくW杯開幕!


     スポーツを愛する皆様、ご機嫌いかがでしょうか。今回の「俺スポ」は、毎月1回お送りしております、今秋オーストラリアで開催されるラグビー・ワールドカップについての特集、その第5回です。先月のこのコーナーでは、苦戦の続く我らが日本代表のここまでの道のりを振り返りましたが、今回は再び海外に目を向け、優勝に向けて着々と準備をすすめる有力国たちの近況を見ていく事にいたしましょう。

     以前にもお伝えしましたように、これまで4回のワールドカップは全て南半球の3カ国が優勝しています。その3カ国であるニュージーランド代表オールブラックス、豪州代表ワラビーズ、そして南アフリカ代表スプリングボクスの対抗戦「トライネーションズ」が今年も行われました。7月12日、ケープタウンにて行われた南アvs豪州戦では、接戦の末ホームのスプリングボクスが26−22で競り勝ち。世界王者を破っての久々の快挙に、熱狂的な地元ファンが大いに沸きました。
     しかし喜んだのもつかの間、翌週のオールブラックス戦でスプリングボクスは。16−52と同じくホームで戦いながらも惨敗を喫してしまいました。逆にこれで波に乗ったブラックスは、敵地シドニーで行われたワラビーズ戦でも50−21と2週連続の圧勝。結局残り2試合のホームゲームも順当に勝利を収めたオールブラックスが、4戦全勝という圧倒的な内容で2年連続のトライネ−ションズ優勝を飾っています。世界一の座を常に争いながら、1987年の第1回大会以来ワールドカップ制覇に縁の無いオールブラックス。悲願のカップ奪回に向けて、準備は万端整ったと言っても決して過言では無いでしょう。

     一方では、残念なニュースも飛び込んでまいりました。8月16日のニュージーランド戦で肩甲骨を骨折したワラビーズの副将トウタイ・ケフー選手が、本大会までに回復が間に合わない事が判明、出場ができなくなってしまいました。当初は開幕に間に合うと思われていたのですが、予想以上にケガは重かったようです。これは連覇を狙うワラビーズには、大変な痛手となってしまいました。果たして本大会までに、ワラビーズはもう一度チーム力を高め、オールブラックスに対抗できるだけの戦力を整備する事が出来るでしょうか。選手個人の能力では、決して劣っている事は無いと思うのですが…

     さて、ニュージーランドが一歩抜け出した感のある南半球ですが、ではこれを迎え撃つ北半球の強豪たちはどうでしょうか?ワールドカップ初制覇に向けて燃える北半球諸国の中で、優勝カップに最も近い存在であるのがラグビー母国・イングランドである事は疑いようがありません。そして過去2回決勝に進出しているフランスも、3度目の決勝進出を虎視眈々と狙っています。その英仏両国の対戦が、8月30日にフランス南部のマルセイユで行われました。結果は17−16でフランスが接戦を制し、イングランドの国際試合連勝を14でストップしました。イングランドがベストメンバーを出してこなかったという事情はありますが、フランスにとってはホームでキッチリと勝っておきたいゲームだったと思います。やはりこの2カ国は実力伯仲。本大会でも、その力を大いに発揮してもらいたいと思います。ちなみに6日にも両国は対戦します。今度はイングランドの本拠地、ロンドンでのテストマッチですので、イングランドも威信を賭けて勝ちに来るでしょう。
     そしてもうひとつ注目すべきは、日本と1次リーグで対戦するスコットランド。こちらは、ウェールズと対戦し23−9で敗れてしまいました。とはいえ、日本にとってスコットランドが手強い強敵であることには、代わりがありませんけどね。

     という訳で、現時点での優勝争いは…

     先頭集団:イングランド、ニュージーランド、豪州、フランス
     第二グループ:南ア、アルゼンチン

     というところだと思います。この先頭を走る4ヶ国から世界チャンピオンが誕生する確率は、95%以上だと言っても過言では無いでしょうね。またアイルアンドも8月30日のイタリア戦で61−6と圧勝するなど、順調な調整振りを見せダークホースとしての力量を保持しています。しかしアイルランドは、1次リーグは豪州、そしてアルゼンチンと同組。このグループから勝ち上がってくるのがまず一苦労ということになりそうです。

     いかがでしたでしょうか。次回は、いよいよ開幕を間近に控え、日本を含めた各国の直前情報と、本大会でブレイクが予想される注目の選手についてご紹介してまいりたいと思います。どうぞお楽しみに!
     〜ワ−ルドカップ開幕まで、あと36日。〜


     ※ラグビー・ワールドカップカウントダウン、第6回〜第10回はこちらから。


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